「企業が社会貢献に取り組むとき利益は出してはいけない」
そうお考えではないでしょうか。
企業の社会貢献活動はゴミ拾いによる環境保全など、その会社の事業とは関係のない分野で行われることも少なくありませんでした。
しかし、そもそも企業が社会貢献をして利益を出すことはそんなに悪いことなのでしょうか。
近年企業が利益を出しながら社会貢献活動を行う「CSV」と言う考え方が注目を集めています。
このCSVを導入することで、企業が社会貢献活動に寄与できるだけではなく、利益を出せ、さらに地域や関係者の方に事業のPRをすることもできますよ。
この記事ではCSVとは何か、企業がCSVの導入をするメリット、実際にCSVを導入した企業の事例について詳しく解説します。
CSVってなに?CSRとの違いは?
CSVとは「Creating Shared Value」の頭文字を取ったもので、企業とその関係者の間で共通の価値を創造することを表します。
これに似た考え方としてCSRという考え方があります。
CSRとは「Corporate Social Responsibility」の頭文字を取ったもので、企業の社会的責任のことです。
CSVもCSRも企業が行う社会貢献であるという点では共通していますが、企業の利益に対する考え方に大きな違いがあります。
CSRの場合は会社の事業外の活動を通して、社会に貢献することもCSRの一つとして考えられてきました。
例えば、大企業が森林保護活動、文化財を保護する活動を行うということもCSRの一つです。
CSVの場合はその企業の事業活動を通じて、社会に貢献することを重要視しています。
例えば、伊藤園で行われている「茶産地育成事業」もその一つです。
この事業では、お茶の販売を行う会社がお茶の生産農家に対して契約栽培をし、茶葉の全てを買い取る活動と、耕作放棄地を造成する活動を行っています。
この事業を行うことで、伊藤園でのお茶の仕入先が確保できるだけではなく、その地域のお茶産業に貢献することができる、という点が特徴です。
この事例のようにCSVは企業が社会貢献できるだけではなく、企業の経済的成長にも繋がることを重視した考え方だと言えるでしょう。
CSVで利益を追求するメリット
CSVはそれぞれの企業で利益を追求しながら、社会貢献を行うことです。
これは企業がただ社会貢献できるというだけではなく、以下のようなメリットがあります。
- 自社の商品をもっとPRできる
- その後の事業展開に繋がる可能性がある
これらのメリットがあるため、CSVをうまく企業に導入することで、企業の成長をより促せますよ。
次で詳しく説明します。
自社の商品をもっとPRできる
CSVのメリットは自社の商品をもっとPRできることです。
CSV活動では自社の商品などの強みを生かして、社会貢献をしながら会社の利益にもつながる活動ができます。
そのため、企業がうまくCSVを導入できれば、CSVの対象になった関係者との繋がりが深まり、会社のPRにも繋がりますよ。
日用品で減災に活用できることをもっとPRできる
減災対策もCSV活動がまだそれほど行われていない分野の一つです。
日用品として販売されているものの中には、減災グッズとして利用できるものも少なくありません。
減災対策とは日頃の備えで、災害時の被害を少しでも減らす取り組みのことです。
減災対策について詳しくは、「毎日の買い物で探してみよう!身近な「モノ」でもしもに備える方法」に詳しく解説しましたので、ぜひご覧ください。
減災グッズとして知られている液体ミルクや備蓄食だけではなく、紙おむつや生理用品など日常使えるものも減災グッズとして利用できます。
これらの商品をCSV活動を通してPRすることで、社会貢献だけではなく、その商品の宣伝にもなりますよ。
その後の事業展開に繋がる可能性がある
企業がCSVを行うメリットは、その後の事業展開に繋がる可能性があることです。
例えば、CSVとしてその会社の商品を生かしてボランティア活動を行うことで、対象となる地域と良好な関係を作れます。
築いた関係をうまく生かしていくことで、その後の事業展開に繋がっていく可能性もあるでしょう。
このように地域や関係者との関係性を強化することは、一朝一夕にできないことなので、他社との差別化にも繋がるかもしれません。
CSVにはどんな事例があるの?
「でもCSVってあまり聞かないし、どんな取り組みがなされているかよくわからない」
そんな方も多いのではないでしょうか。
CSRは聞いたことがあるけれど、CSVはそれほど聞いたことがない、という人も多いですよね。
しかし、企業がCSV活動をしている事例は実は身近なところにもあるんですよ。
ここでは企業のCSVとして取り上げられる例を2つ紹介します。
丸富製紙株式会社:超ロングトイレットペーパー
丸富製紙株式会社では250mある国内最長のトイレットペーパー「超ロング」を発売しています。
東日本大震災が発生した際、被災地だけではなく、全国各地でトイレットペーパーが不足する事態になりました。
そのため、トイレットペーパーを日常用とは別に1ヶ月分保管しておくことが減災対策として有効です。
このトイレットペーパーは、減災の観点から見たときに以下のメリットがあります。
・保管スペースが少なくすむ
・芯まで使い切れるため、ゴミも出ない
同社の通常のトイレットペーパー(シングル)のものだと1本55mのため、一般のトイレットペーパーの4倍以上長持ちし、4人家族1ヶ月分を4〜5ロール程度でまかなうことができます。
省スペースで設置できるだけではなく、交換する回数も減らせるため、日常生活でも非常に便利な商品です。
この商品は経済産業省が主催している「トイレットペーパーの備蓄推進に関するパネル展示」に出展され、大きな注目を集めました。
災害派遣トイレネットワークプロジェクト:みんな元気になるトイレ
次に紹介する例は災害派遣トイレネットワークプロジェクトによる「みんな元気になるトイレ」です。
災害が実際に発生したとき、トイレの確保が大きな問題になります。
災害時は上下水道が利用できなくなることがあり、その結果トイレの衛生状態が悪くなるケースが少なくありません。
その結果悪臭の問題だけではなく、感染症に発展することもあります。
その問題を解決する手段として、みんな元気になるトイレは生まれました。
みんな元気になるトイレは4人同時に利用できるトイレ用のトレーラーで、お年寄りの方や女性でも安心して使えるよう洋式のトイレになっています。
車で電源が確保できているため、電気が繋がらない状態でも明かりが確保でき、どんな時間でも利用可能です。
このトイレは現在静岡県西伊豆町、愛知県刈谷市、静岡県富士市の3ヶ所に導入され、今後も全国各地への導入を目標に活動を続けています。
このトイレは災害時以外にイベント時など一時的に多くの人が集まるような場合にも需要があるでしょう。
まとめ
この記事では、CSVとは何か、CSVのメリットや実際に導入している企業の例について詳しくお伝えしました。
CSVとは、企業がビジネスを通して社会貢献を行うことです。
この考え方は「売り手よし・買い手よし・世間よし」と言う近江商人の間で使われていた「三方よし」と言う言葉に表されているように、決して特別な考え方ではありません。
これまでの企業の社会貢献活動はCSRに代表されるように、「利益を出せない」「事業以外の活動をしなければいけない」と言う認識が強かったのではないでしょうか。
今後の企業の社会貢献は、「CSVで利益と社会的課題の解決を両立させる」ということが大切になってくると考えています。
この機会にCSVを導入してみてはいかがでしょうか。
減災を通して、企業が地域貢献と営利活動の両立できる場を提供します
日本森の十字社では、災害時「暖(だん)」「明かり」「炊き出し」に役立つ「備蓄木(びちくぼく)」をとおして、森の保護と減災対策をつなげる「びちくぼくプロジェクト」を行なっております。
また、今後減災を身近に体感し、考えるきっかけづくりとして、「まき割り」「火起こし」「実際にどう備蓄食を使うか」ということを楽しみながら考えられるイベントも企画しております。
今後以下のような活動をしていく予定です。
- 減災を身近に体感できるイベントへの出展
- 企業が減災商品を販売できるコンテナショップの開催
- 様々な企業が減災用品を蓄えられる倉庫を導入
「減災のCSVを導入したいけれど、どこで導入すればよいかわからない」
そのようにお考えであれば、私たちの活動にご協力いただけませんか?
今後も皆様のご協力・ご声援よろしくお願いいたします。